全国公共工事予定価格、市区町村過半が実勢反映せず/全建会員調査
全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)は会員企業を対象に、公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)運用指針を踏まえ発注手続きが適切に行われているか調べた。最新の公共工事設計労務単価や高騰する資材など実勢価格が予定価格に適切に反映されているか確認したところ、「あまり反映していない」と答えた割合は市区町村発注工事で5割超を占めた。受注の減少や工事原価の上昇などを理由に利益が「悪い」または「悪くなってきた」企業の割合は公共発注者全体で前年度調査を上回る4割超に上った。=2面に関連記事 調査は2015年度から毎年度行っている。本年度は6~7月に実施。前年度の倍となる1183社増の2524社が答えた。 最新の実勢単価が予定価格に反映されているか発注者別に調べた結果、「あまり反映していない」のは国土交通省20・4%(前年度比0・5ポイント低下)、都道府県38・3%(6・2ポイント上昇)、市区町村55・9%(8・8ポイント上昇)だった。会員企業からは「資材単価の高騰が追い付いていない状況が最近多い」「交通誘導員の労務単価と実勢単価に大きな乖離(かいり)がある」などの意見が上がった。 直近1年間の会員企業の利益も調査。「悪い」が8・2%(3・3ポイント悪化)、「悪くなってきた」が35・9%(1・0ポイント悪化)となった。利益悪化の原因は複数回答で多い方から「受注の減少」74・4%、「工事原価の上昇」69・2%、「競争の激化」44・3%などの順に続いている。 24年4月に迫る時間外労働の罰則付き上限規制適用への対応状況を把握するため、国の中央建設業審議会(中建審)が20年8月に作成・実施勧告した「工期に関する基準」に基づく適正工期の設定状況も確認した。「適正」または「おおむね適正」の回答割合は8割前後(国交省86・4%、都道府県82・9%、市区町村78・7%、民間81・2%)だった。一方、残りの2割前後は「一部不適正」または「不適正」との回答だった。 全建は14日に発表した「適正工期見積り運動」を展開し、発注者から工期の見積もりや提案を求められた全工事を対象に、中建審の同基準に準拠した工期を提示していく。 調査結果は、10月4日の関東甲信越を皮切りに全国9地区で開く国交省との23年度地域懇談会・ブロック会議で参考資料として活用。全建や都道府県建設業協会が改善を求める。
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